「花と雨」

SL-782007-02-13



1.ADRENALIN
2.TOKYO
3.ILL WHEELS feat.BES
4.SKIT
5.不定職者
6.Sai Bai Men feat.OKI(GEEK)
7.WE DON'T CARE feat.GANGSTA TAKA
8.JUST ANOTHER DAY
9.GAME
10.ガキのタワ言 feat.K-NERO(SDJ),STICKY(SCARS)
11.DAYDREAMING
12.LIVE and LEARN
13.花と雨

長らく彼はそのハードエッジなヴァイリンスタイル故に音源の出来に見合う評価を得られていなかったが、本作ではフロウを大幅に日本語寄りにシフト。さらにリリックをパーソナルなトピックに絞りこむことで、日本語ラップとして例のない境地に達した感がある。それはつまり、US的体裁を借りるジレンマを回避しつつ、アングラが入りがちな隘路とは無縁の、理想主義的なストリート描写を体現したということ だ。それも「聴こえのよさ」まで自然に両立させている点が新しい。また、忘れてはならないのが全編のプロデュースを担うBACH LOGICの敏腕ぶり。単にハイクオリティなだけでなく、緻密でキャッチーながら絶妙に無機質なサウンドが終始ラップと拮抗する展開は見事と言う他ない。中でも圧巻は断片的な追憶が音にのることで一大叙情詩へと昇華したM12。その他いずれの曲についても、万人に響きうるドキュメンタリーとして説得力を保っている。今回の進化で唯一失ったものがあるとすればそれは一聴してのインパクトの強さだ。こればかりは前作に一歩譲るが、表現が熟しきっていない危うさもまたこのアルバムを傑作たらしめている一因であろう。