「Xカリバー」

SL-782007-08-20



1.其の壱
2.HYDRO PANIC
3.WINS MAN with WINS MAN
4.LAST OF SAMURAI feat.K5R,般若,ASHRA
5.仁義
6.夜桜[龍と銀次]
7.さからうな!
8.Xカリバー
9.灼熱 -HEAT-
10.実況トニー
11.死刑執行0:01 feat.MISTA SMITH
12.三味線
13.野良犬 サパ ピルカセタ feat.SHINNOSK8,神,響言奏
14.ウロヤケヌマ feat.G.K.MARYAN,D.O
15.違えんだよ feat.RINO LATINA ?
16.ブリブリテーマソング pt.? feat.TWIGY,DEN

妄走族のイメージといえば、サグいのとはまた違った日本的な不良ノリというのが一般的だろうが、メンバーのソロ音源を聴くと、意外にオーソドックスなハーコーラップであることが多い。そんな中でこのアルバムは、般若の諸作と並んでヒップホップの枠組から大きく外れた任侠道的世界観を押し出している。とはいえ般若が表現の巧みさでエンターテイメントしているのに対して、チンピラの切る啖呵のごとき桃太郎のリリックやフロウはあくまで素であり、両者は似ているようで異質だ。ヴァースが長い分、妄走族のときに比べるとコトバのキレに若干の翳りが感じられるものの、それでも捻りもクソもないパンチラインの応酬は相変わらず。ギャンブラー賛歌M3やヤクザの美学を謳うM6みたいな詞は彼にしか書けまい。プロデュースはタイプライターによるド派手なM9等外注ものも数曲あるが、おなじみの妄周辺のそれのようローファイで土臭いものの方が相性はよく感じた。

「Risin' To Tha Sun」

SL-782007-08-19



1.INTRO
2.SUMMER PARADISE〜Risin' To Tha Sun〜feat.青山テルマ
3.PARTY'S OVER HERE feat.HI-D
4.MY SWEET HONEY feat.Kalassy Nikoff
5.Message From 022
6.LET'S PARTY〜Don't Worry Bout It〜
7.WORLD WIDE 2 feat.FOESUM
8.RIDE ON MY DONK
9.Message From 052
10.IN HERE feat.NORTH COAST BAD BOYZ&EL-REY
11.NEVER CHANGE feat.XL MIDDLETON
12.STEP IN OUT feat.TWO-J&DAZZLE 4 LIFE
13.OUTRO

DS455もといDJ PMXの作品というのは、言うなれば「動かざること山の如し」あるいは「Jウェッサイのご神体」。たとえフラクタルな音楽の再生産であろうとも、国内西系髄一の高いサウンドクオリティゆえに、こうしたフレーズがしっくりくる。さて、セカンド同様夏をテーマにしたこの4作目、同じ夏でもセカンドが炎天下の砂浜なら、こちらは夕暮れ時の海辺といった趣。ミッド〜スローを軸に緩やかな起伏を伴いつつ展開する仕上がりは、快楽主義的な彼らのスタンスが明快に投影されており、ムーディで心地よい。そこには前作で内面描写にトライしたような目新しさは皆無だが、ご神体とは元来そういうものだろう。ただ、いかんともしがたいのはハードコアなナンバーを廃したこと自体よりも、従来作に通底していた妖艶さが少々減退気味なことで、そういう意味ではM8のようなハズシがもう少しあってもよかったかもしれない。

「GLOSS」

SL-782007-08-08



1.Tha F.Q's Style feat.JiN
2.Ultimate Girls / FQ meets HOZE
3.Introduction -I like it-
4.I like it
5.Higher feat.B-BANDJ(FU-TEN)
6.Crush on you
7.Interlude
8.I'll never know
9.Delicious Circus
10.A-L-I-V-E / FQ meets HOZE
11.Golden Palace feat.CORN HEAD
12.A Taste of Honey -GLOSS mix- / FQ meets "E"qual
13.Luxury ride feat.ZEEBRA
14.Magnetic Love
15.Introduction -Party Booty Shake-
16.Party Booty Shake feat.Miss Monday

Foxxi misQは歌番組のオーディションで選ばれた3人からなるガールズR&Bユニット。「和製デスチャ」をコンセプトに、ポップス畑のヒットメイカー・Face 2 fAKEがメインプロデュースを務める。所謂アイドルがR&Bっぽいことをやるのとは一線を画しており、メンバー全員が交互に入れ替わるリードやコーラスワークは意外に本格的だ。三者三様の声質がバランスよく、ゲストMC陣との絡みも様になっていて高いポテンシャルを感じさせる。トラックは先鋭的というよりむしろバタくさく、その実オーソドックスでまあ聴きやすい。おしなべてデスチャ路線のシングル曲群はひたすらアップでインパクトがある反面、アルバム曲は中庸なミッド中心で無難にまとまっている印象もあるので、今後は安易にキャッチーな方向に走らず、よりアグレッシブな展開を期待したいところ。

「KING&QUEEN」

SL-782007-07-19



1.No Music, No Life feat.GRAND BEATZ(DJ RYOW&TOMOKIYO),尾崎真希
2.Know Music, Know Life feat.DJ TAIKI a.k.a. GEEK
3.Intro 〜Aggressive & Hungry〜 feat.Anarchy,Jack Herer
4.King & Queen feat.Foxxi misQ
5.Shatta Fire 〜Reloaded〜 feat.Ackee&Saltfish
6.Skit feat.The Groove Brothers
7.Music Hustlin' feat.般若,AK-69,AKIRA,MACCHO,TOKONA-X,DJ NONKEY
8.Simple Man feat.Full Of Harmony
9.Ballers Vacation feat.Mr.OZ,來々,The Groove Brothers
10.Everybody Get Up feat.DJ MITSU,ノリ・ダ・ファンキーシビレサス,ヤス一番?,プリメラ
11.Don't Cry feat.JAMOSA,G.B.L
12.Big Shout Out To My...
13.Outro 〜The King Is Back〜
14.Warnin' feat.SORASANZEN,GRAND BEATZ(DJ RYOW&TOMOKIYO)

あくまで自然体に徹し、例えば音の「間」のようなミクロな部分に拘った前作から一転、今回は楽曲ごとの狙いが明快で、演出に富んだ派手目の作風となっている。それはアプローチに応じて適宜ゲストを迎えていることからも窺えよう。ROCKなリード曲M2を筆頭に、M4のキラキラR&B路線から珠玉のラブソングM8に至るまで、多彩な音楽性が目まぐるしく展開する様は、テンションの切れ目がなくじつに刺激的。外注トラックをふんだんに起用したセカンドほどのスケール感こそなけれど、大半をセルフプロデュースとしながら、ノリとセンスのよさで最後まで飽きさせない作品づくりに成功している。また、これだけの客演にも関わらず、終始自身のラップが主役たりえているのは、ハード寄りに再シフトしたフロウの賜物だろう。欲を言えば、コンシャスなトピックに挑んだM14が、よりカタルシスティックな締めくくりなら尚良かった。

「Can YA Feel?」

SL-782007-07-18



1.Superstar
2.beauty×beauty
3.Stand Up!
4.The Bridge feat.COMA-CHI
5.MUSUNDE
6.On & On feat.SIMON
7.Hey Sister!(Tell Me What YA Thinkin') feat.TARO SOUL
8.Keep YA Head Up feat.HOKT from NORTH COAST BAD BOYZ
9.Feel The Sky
10.Rainbow
11.Holiday with DJ AGETETSU
12.Dress Code / EQUAL feat.YA-KYIM
13.Hands up type II feat.TOMOGEN from DOBERMAN INC

歌って踊れてラップもできる、といういわばニッチ狙いのフィメールユニットである彼女達の2枚目となるフルアルバム。前作は今井了介やnao'ymtなど、どちらかというとR&B寄りのプロデュースが主だったのに対して、今回は今をときめくBUZZER BEATSからM1のDJ JINやM8のDJ PMXといった大御所まで、ヒップホップ畑のトラックメイカーを数多く迎えているのが特徴。もともとコーラスが弱いグループだけに、この方向性はまぁアリだろう。クリエイターが比較的自由に遊んでいるので、サウンドエグジビジョン的な楽しみ方ができるのは彼女達の音源ならではだ(BACH LOGICの手堅い仕事など)。若手MCの参加にしても然り。ただそれらの素材を、軸となるべき普遍的なキャッチーさにまで昇華しきれていないのは、表現力においてまだまだ伸びしろがある証左と言えよう。ニッチのままで終わってしまわぬ為にも独自色の確立が望まれる。

「JAPANESTA〜Little Boy&Fat Man〜」

SL-782007-07-04



1.Intro〜air raid alarm〜
2.Little Boy&Fat Man
3.戦友
4.Talkin' about my hood
5.Tought Not Enough feat.E-eight
6.Matter Fact
7.Winning The Case feat.DJ SIDE-2
8.Dedicated...feat.來々

徹頭徹尾ギャングスタ的な美意識が貫かれたファーストに比べると、このEPは曲毎のトピックが具体的で、トラックも比較的表情豊かなものが揃っている。中でも、十八番であるホラーチックなハードコアナンバーM2から湿っぽいM3を経て、哀愁系のM4へ着地させる一連の流れは、表現力の広がりを感じさせる部分だ。ただ、後半の楽曲群がやや単調なのと、くだけた描写が増した分、以前のような大仰で圧倒的にサグい個性が薄れてしまったのは残念。しかしそれは裏返せば、普遍性を得てとっつきやすくなったということでもある。また今作から見られるCUEの血管が切れそうなフロウは、依然として精緻なMr.OZのヴァースとのコントラストをよりいっそう明確にした。

「Hydrophobia」

SL-782007-06-11



1.INTRO
2.DA WAY 2 DIE feat.BIG RON
3.OUTCRY-ooh child-
4.PLAYER or PLAYERHATER
5.CLICK DA TRIGGER
6.HATE GAME
7.SKIT-introduce- feat.A-GEE
8.HYDROPHOBIA
9.CRUSIN' WITH MY HOMIES feat.來々
10.SKIT-church-
11.THE BIBLE
12.THE OTHER SIDE OF THE CORNER feat.II-J
13.THE PLAYER'S CHOICE feat.Kayzabro,Ganxsta DX
14.OMERTA feat.LA BONO

一般に日本のウェッサイ系といえば、Gファンク寄りのサウンドが主流であるが、4-SIDEのトラックはそれとは対極に、ダークでおどろおどろしい空気を演出する。その上で、ハスキーにガナるCUEと、地鳴りの如きデスヴォイスで淡々と迫るMr.OZのコントラストが、ハードボイルドでフィクショナルなストーリーを綴る。こうしたスタイルや世界観はかなり独特で、メインストリームが目指すダイナミクスとは真逆の、一種の様式美の体現を志向しているかのようにさえ感じられる(特にMr.OZ)。そういう意味で、好き嫌いがハッキリ分かれるアーティストではあるだろう。個人的には前半の、恐怖感の過剰な扇動は唯一無二で面白いと思う。本作はファースト・フルということで、既発曲を網羅したベスト盤的内容になっており、ハマればそうした魅力を存分に味わえよう。