SL-782007-03-25

  • BLAST休刊の件。日本語ラップ評における、最低限のメルクマールが公的メディアとして存在してたからこそ、俺みたいな1リスナーごときがwebであーだこーだ好き勝手言えてたわけで、その「あって当たり前の」言説すらなくなって、ジャンルそのものの未来まで危惧せざるをえないっつーこの現状は、音楽と実存を切り離せるほどに理想主義的なリスナーではいられないB-BOYの端くれとして、やっぱもどかしく感じずにはおれまへん。
  • その最終号巻頭、SHINGO☆西成のインタビュー&地元ルポは、一応現地を知る人間としてスゲー説得力があってよかった。新今宮行くとマジで道端におっさん倒れてたりするからな。。
  • そしてなんつっても表紙のメンツ&彼らによる付録CDにゃ興奮しまくり。興奮のあまり軽くレビュー。

「未来は暗くない〜The Next」(BLAST2007年5月号付録)


1.未来は暗くない〜The Next / BLAST feat.ANARCHY,サイプレス上野,COMA-CHI,SIMON,SEEDA Introduction by DABO
2.未来は暗くない〜The Next(Inst.)

BLAST最終号の企画による付録CD。「日本語ラップの未来」というテーマで、5人の新世代MC(全員80年代生まれ!)が、NITROの"BAMBU"よろしくDABOの紹介の下マイクを回すというコンセプトの作品である。レーベルもフッドもバラバラな若い才能が、それぞれ前向きな意思で一堂に会したというだけでもリスナー泣かせなのに、楽曲自体の出来もオマケにしておくには惜しいなかなかのもの。プロデュースはSIMONなどを手がける318で、どこかオーセンティックながら華のあるサウンドが新時代のクラシックに相応しい。参加ラッパーは全員比較的勢いで聴かせるタイプだと思うが、今回その特性をもっとも発揮しているのはCOMA-CHIで、溢れる刺激が頼もしい彼女のヴァースに個人的にはMVPを推したい。また、SEEDAのリリカルなスタイルはやはり孤高の境地にあると再認識させられた。「証言」のような圧倒的ヴァイブスこそなけれど、10年前ではありえないほど個々人のスタイルが多岐にわたることが日本語ラップの成熟を物語っている。それだけで充分価値ある一曲だろう。